不動産売却の際に、不動産業者にどのくらい前から相談するべきですか?

お客様との打ち合わせの際には納期や方法の決定の他に、納期の障害になる項目がないか等を確認します。打ち合わせの事項については以下のようになっています。
1.動機
家族が増えた等の買換えや転勤、両親との別居、離婚等の不要不動産、合併統合、事業再生など
2.いつまでに
納税のために、購入物件の代金支払いに合わせたい、税制上の恩恵を受けるため
3.だれが
本人や妻、父、祖父、祖母、相続人全員など
4.何を
ご自宅や別荘、相続不動産、投資用マンション、事業用物件、自社社宅、遊休不動産、自社社屋など
5.どのように
指定流通機構への登録、ポータルサイトへの掲出などのOPEN型や、会社の資産を売却するので、風評被害を避けたいなどのCLOSE型
6.どこで
デベロッパー系不動産会社や金融系不動産会社などの売却依頼をする会社

不動産の登記については未完了であっても罰則や義務といった規定はされていません。しかし、不動産の売却をする際には、不動産登記が未完了では売却は不可能です。例えば相続財産を売却する際には、売却前に被相続人から相続人に土地や建物の不動産の名義変更の手続きをしなければなりません。遺産分割協議書のある場合に、たとえその分割時点において相続人間の合意があったとしても時間の経過により共有者の一人に二次相続が発生する、後から分割の方法に不満が生まれるといった状況の変化が起こる可能性があります。その際には簡単に相続登記をすることは不可能であり、通常の相続登記なら1か月ほどで完了する場合でも完了の目処が立たないこともあります。
測量図の種類には2つあります。まず現況測量図とは、民有地について測量士や土地家屋調査士等の資格を持っている者によってつくられた測量図のことです(隣地所有者等の立会いが必要)。ただし、国または地方公共団体が有し管理している道路や水路等の官有地との境界境は決めなくてもよいです。次に確定測量図とは、官有地や民有地について隣地所有者等の立会い、つまり境界確定を得たうえで資格ある者によってつくられた測量図のことを言います。
従前では一般の住宅地や戸建も登記簿の面積での売買、つまり公簿売買での取引がされていましたが、買主側がこれらの測量図の作成を求めるケースが多くなっています(登記簿面積と実測面積はほとんど同じでないため後々トラブルになることがあるため)。これらの測量図は製作の段階で隣地や近隣に協力してもらう必要があります。日常からご近所の付き合いがあれば協力してもらうことも容易ですが、交流が全くないと立会いのスケジュールが遅れてしまいますし、最悪の場合には境界石等が明らかでないケースでは境界のポイントが決まらないということも考えられます。立会い日やポイントが決まらない理由には以下のようなものが考えられるので参考にしてください。
・知らないうちにこちらの塀が隣地に越境していた
・堀の所有がどちらなのか確認できない
・先代より昔と境界石の場所が異なると聞いている
・隣地がもっている測量図をもとに割り出すと現況のポイントがずれてしまう
・お互いが、または先代が好意的に思っていない
また、相続税の物納申請や宅地建物取引主任業者を含む法人との取引ともなると確定測量図を作らなければなりません。しかし、確定測量図の作製には国または地方公共団体が立会いしなければならず、できるまでに通常3か月ほどの期間がかかるため査定ポイントが決まらなければ時間だけが過ぎて完成の目処が立たなくなってしまいます。
売却不動産が借地である際には事前に譲渡承諾を得る、つまり売却する旨を地主と話し合って売却時の諸条件等も確定しておかなければなりません。自宅に隣接している道路が私道(個人や共有で有している道路)の際に、上下水道やガス管を新しく設置する場合には土地所有者の承諾も必要です。ただし、公道として認めることが難しい道路や維持管理が市区町村などの認定外道路はこのとき除かれます。また、同じ私道であっても位置認定道路(建築基準法の大42条第1項第5号)と呼ばれる行き止まりの道路らしい私道に面している際には、再建築をする場合接道要件を満たしていないことがあるので注意しなければなりません(本来の役所に申請した図面と現在の道路形状が違うため)。ひさしや塀といった越境物の撤去については、過去に取り決めがない際には新しく隣地当事者との覚書が必要となります。
また、平成20年3月より不動産売買の取引に関係する宅建業者は、売主・買主およびその代理人の本人確認をするとともに、本人確認記録の作成と保存、取引記録の作成・保存、疑わしい取引の届け出をしなければならないこととなっています。よって、例えば売却依頼をいただくときの媒介契約時といった不動産に関する事務手続きの際にも本人確認をしなければなりません。法律行為をおこなうときにはおこなうに必要な判断能力が不可欠であり、通常不動産の売主が未成年のことはあまりなく高齢者のほうがどちらかというと多くなります。現在の市況では売却の依頼をいただいて具体的な買主を見つけるまでに期間のかかるもので数年もかかる案件もあるので、媒介契約をしたときに元気で判断能力が備わっていた方でも売買契約時や最終の残代金決済時には判断能力がなくなってしまうケースも考えられます。このような場合の解決策として以下の成年後見制度をつかうという手があります。
成年後見制度には2つの種類があります。まず、任意後見制度とは、将来判断能力が不十分になった場合に備え、誰にどのような支援をしてもらうかを先に契約によって決めておく制度です。次に、法定後見制度とは、判断能力が不十分となった場合に家庭裁判所が援助者として成年後見人や保佐人、補助人といった成年後見人を選ぶことのできる制度です。この制度をつかうためには家庭裁判所に審判の申し立てをし、本人の判断能力に応じて後見や補佐、補助の制度を利用することが可能です。
売却のお手伝いをさせていただくときにはこれらのような事柄に気を付けながら進めていきますが、お客様の背景やご事情はそれぞれにあるものであり、場合によっては解決に時間を要するものもあります。また、ひとつのお取引が終わるとそのお客様の個人情報が全部わかってしまうため、これだけの情報を見ず知らずの担当者に開示するわけなので信頼のおける人へのご相談をおすすめします。

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